商法第二二六条にいう株券の発行の意義。
商法第二二六条にいう株券の発行とは、会社が同法第二二五条所定の形式を具備した文書を株主に交付することをいい、株主に交付したときはじめて該文書が株券となるものと解すべきである。
商法226条
件名 株主権存在確認請求 (最高裁判所 昭和39(オ)1410 第三小法廷・判決 棄却)
原審 札幌高等裁判所
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
論旨は、手形の振出交付を例にして、「株券の発行」とは、会社が株券を作成し、その株券を何人かに交付することであると解すべきであつて、株券の発行があるといいうるためには、会社が株券を株主に交付することが必要であると解した原判決には、商法二二六条の解釈を誤つた違法がある、という。
しかし、同条にいう株券の発行とは、会社が商法二二五条所定の形式を具備した文書を株主に交付することをいい、株主に交付したとき初めて該文書が株券となるものと解すべきである。したがつて、たとえ会社が前記文書を作成しても、これを株主に交付しない間は、株券たる効力を有しないこというまでもない(大正一元年七月二二日大審院判決、民集一巻四一三頁参照)。これと異なる見解を主張する論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 下村三郎 五鬼上堅磐 横田正俊 柏原語六 田中二郎